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投資は、資産配分(アセットアロケーション)が9割の理由

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  多くの投資家さんは、「どの銘柄を買おうか、何を売って何を買おうか」、と日々悩み悪戦苦闘していると思います。「安いところで株を買って、高くなったら売れば大儲け。これを繰り返せば自分の金融資産はどんどん増えていくはず」と思うわけです。

しかし、実はその認識の90%は間違っていることが経済学者の実証研究で明らかになっているのです。

「え? 株ってどの銘柄を買うかで運用成績は決まってしまうんじゃない?」って思っているあなたの「資産運用」学科の期末試験の成績は100点満点中10点、赤点もいいところです(苦笑)。

今回は資産運用で運用成績を決めてしまう9割の「資産配分(アセットアロケーション)」とは何なのか?それをきちんとご説明します。株式投資の一番大切な概念なのでしっかりついてきてくださいね^^

 

アセットクラス(資産クラス)とは?

ここでアセットクラス(資産クラス)のご説明をまずしましょう。アセットクラスとは、資産(アセット)を株、債券、不動産、現金(預金)などのカテゴリーにグループ分けしたそれぞれの「株」「債券」・・・を指します。

野菜、くだもの、肉、魚・・・というわけです。

また株のサブカテゴリーとして、アメリカ株、日本株、欧州株、新興国株・・・などの区分けも可能です。債券も日本国債、アメリカ国債、日本の社債、などに分けられます。

野菜のサブカテゴリーとして、ニンジン、ジャガイモ、カブ、きゅうり・・・というわけですね。

この株、債券などをアセットクラスと読んでいます。つまり性質が似ている金融商品(現金や不動産も含めて)同士をひとまとめにして、他と区別しようということですね。

例えていうなら、野菜、くだもの、肉、魚・・・はアセットクラスのそれぞれ。その内訳であるニンジン、ジャガイモ、カブ・・・もアセットクラス。

 

このアセットクラスにはある特徴があります。それは株のアセットクラスに含まれるもの(つまり株です)は値動きの相関が大きく、たとえばトヨタ株が上昇すればNTT株も上昇する。

マイクロソフト株が動けばアップルも動く・・・となります。野菜のグループとくだもののグループ、そして肉のグループはそれぞれのグループ内で似たような性質があるのと同じです。

 

株式運用で大成功、
しかし資産は大して増えていないかも?

今あなたはどんなアセットクラスをどのくらい持っていますか?

まだ株投資を始めていず、銀行の定期預金100万円だけがある状態だと、「100%日本円現金のアセットクラスを持っている。総資産は100万円」という状態です。

あなたのアセットクラス

資産: 日本円 100万円 (全財産とします)

そして、日本株を5万円買いました。「株」というアセットクラスに5%の配分(アロケーション)をした状態です。

資産 金額 割合
日本円 95万円 95%
日本株 5万円 5%
資産合計 100万円 100%

日本円と日本株という2つのアセットクラスを持っていることになりますよね。この95%とか5%の配分比率のことを資産配分(アセットアロケーション)と呼びます。

そして1年後、日本株が運用の結果倍になりました !

 

資産 金額
日本円 95万円
日本株 10万円
資産合計 105万円

株の価値が2倍になったのです。すごいですね! 株式投資は大成功です。でも、待ってください。株が倍になってあなたの資産も倍になりましたか?

違います。資産総額は105万円。たった5%しか増えていません。金額にしたら5万円。ひと月当たり50000/12=4166円の儲けです。これなら毎月8000円払っているスマホを月2000円の格安SIMに換えた方がずっとマシです。苦労して株の勉強をして銘柄選んで売買タイミングも考慮して1年で倍にした株。それよりも経費を見直した方がはるかにマシな結果とは悲しいです。

 

何が間違っていたのでしょうか?

そうです。株というアセットクラスの資産配分(アセットアロケーション)5%が低すぎたのです。

別の言葉を使うと、あなたは「日本円というアセットクラスと日本株というアセットクラスの2つの金融商品に投資している」状態で、資産配分5%の株だけが上がっても大勢に影響はなかったわけなのです。

 

株を始めていない人も、実はすでに全財産を資産運用している

ここで多くの人が誤解しパフォーマンスを下げているかもしれない「あなたの資産運用に関する常識の間違い」を正させてください。

・「いま、銀行に貯金が100万円あって、まだ資産運用していない。これから株でも始めようか?」→×

・「いま、日本円というアセットクラスに100万円投資している。さらに株というアセットクラスにも投資して資産を分散させようか?」→◯

 

株は日々価格が動くけど、日本円はずっと100万円のままだよね?」日本円に投資、ってそれ言えるの? という疑問が生じますか?

実は日本円の価値は株同様日々変動しています。だから日本円もひとつのアセットクラスとして考え、その配分比率とリスク分散を考えないと長期的にヤバい状況になりかねないんです。

 

インフレになると銀行預金はどんどん目減りする

こんな例を考えてみましょう。

むかしむかしあるところに「うさぎどん」がいました。彼は一生懸命働き、日本円で100万円を持つ大金持ちになっていました。

ある日、近くのスーパーにニンジンを買いに行きました。うさぎどんの主食はニンジンで、毎日ニンジンを食べていればハッピーなんです。

「特売セール ニンジン1本100円」100万円でニンジン1万本買える計算です。しかしうさぎどんの冷蔵庫には買い置きしたニンジンがたくさん入っていたので、ニンジン100円は安い!と思いましたが買いを見送りました。そして次の日になりました。

同じスーパーです。「ニンジン1本200円」そんな正札がついていました。うさぎどんは大ショックです。なぜなら彼の100万円でニンジンは5000本しか買えないからです。

つまり、たった一夜にして彼の持つ日本円の価値(購買力)は半分に暴落してしまったのです。うさぎどんはショックのあまりヨロヨロと自宅マンションに帰り寝込んでしまいました。

1日で彼の資産が半減してしまったからです。「こんなことなら昨日1本100円の時に1万本ニンジンを買いだめしておくべきだった」、と後悔します。

そしてさらに次の日です。またスーパーに行くと・・・「特売ニンジン 1袋200円」1袋にニンジンは4本も入っています。1本当たりだと50円です。うさぎどんは驚愕します。今度は彼の持つ100万円でニンジン2万本が買えるからです。

100万円という日本円の価値が1日で4倍になった計算です。うさぎどんは決意して日本円というアセットクラスに投資していた100万円を売却、代わりにニンジンというアセットクラス2万本に投資したのです。

もうこれで彼は一生困らない資産を手に入れました。福沢諭吉先生は「やぎどん」しか食べられません。うさぎどんの資産運用は大成功です。めでたしめでたし。

 

このたとえ話、ご理解できましたか?

日本円の価値は「物価」を軸に毎日変動しているのです。もちろんニンジンの値段だけで日本円の購買力を計るわけではなく、複合的な要素も加味したCPI(消費者物価指数)という指標を使って通貨の価値は計られます。

通貨の価値も「購買力」という視点から、株同様日々刻々変動しているのです。つまり、日本円で定期預金しか持っていない人は、「日本円というアセットクラスに100%投資していて、リスク分散のためには他のアセットクラスにも投資をすべき」となるのです。

なぜなら物価が上昇するインフレになったら日本円の価値は、うさぎどんのニンジンのように減少するからです。銀行預金しか持っていない方も、「日本円というアセットクラスに100%投資していて、その分散を考えないとインフレにやられるのでヤバい」と考えなくてはいけないのです。

 

デフレの時代からインフレの時代へ

ちなみに、いま日本は過去20年以上続いたデフレの時代からインフレの時代へ、と舵きりしています。政府の目標インフレ率は2%です。もしこれが実現すると毎年毎年2%あなたの銀行預金は減っていくことを意味しています。

これが20年続くとあなたの日本円の資産価値はいくらになってしまうと思いますか? 簡単な計算でそれがわかります。

(1-0.02)^20= 0.667 (98%の20乗を電卓かエクセルで計算してみてください)

つまりいまを100として、20年後には66.7%になってしまう、ということです。100万円のうさぎどんの銀行預金は2%のインフレが20年間続くと、その購買力は66万7000円にまで減少してしまうのです。

 

投資は資産配分(アセットアロケーション)が9割!

このアセットクラスの保有比率のことをアセットアロケーション(資産配分)と投資の世界では呼んでいます。たとえばこんな感じです。

≪アセットアロケーションの例≫

株:内訳 40%
 日本株 10%
 アメリカ株 20%
 欧州株 10%
債券:内訳 30%
 日本国債 20%
 先進国国債 10%
日本円 20%
外国通貨(FX) 10%
合計 100%

 

注意していただきたいのは、合計の100%はあなたの全財産で考えよう、ということです。そうでないと、先ほどの例のように株が倍になっても全資産に対する投資利回りはしょぼくなってしまうかもしれません。

いま、銀行預金に100万円があって、それをどう資産運用しようか?と悩んでいるあなたは、実はすでに「日本円に100%(100万円)投資している状態であり、そのうち何パーセントを株に回すのか?国債を買うのか?リート(不動産投信)を買えばいいのか?」というアセットアロケーションを考えないと資産運用は上手くいかない、ということなのです。

 

世の経済学者さんたちは、この資産配分で投資の成果の何パーセントが決まってしまうか、を論文に表しています。それらによると、なんと「投資成果の9割は資産配分(アセットアロケーション)で説明できる(決まってしまう)」、という結果なのです。

ここまでの説明をお読みになった読者のかたは、なんとなく、全資産の何パーセントを株にするか、定期預金にするか、で資産運用の方向性が決まってきそうだ、とわかりますよね?

少なくとも長期的に株のアセットクラスが毎年倍倍になることはありえません。バフェットでも毎年20%のリターンがせいぜいなのですから、凡人である我々はインデックス運用で毎年5%程度のリターンが株で得られれば十二分に資産運用は成功、というわけです。

 

アセットアロケーションは自分の労働収入も考える

実はこの資産の配分比率は、自分が働いて得られる給料、つまり人的資本も考慮に入れないと本当は上手く機能しません。自分の仕事がどれだけ安定して毎月いくら手取りで入ってくるのか?

「今月は300万円の収入があったけど、来月は50万円になってしまうかもしれない、来年は契約打ち切りで収入の目処がたたないかもしれない」、というフリーランスの人と、「公務員で毎年手取り30万円だけど、65歳の定年まで絶対クビにならず毎月生活できる収入がある」人とでは、株などのリスク資産に投資できる比率は違ってしかるべきです。

・収入が安定している人ほど、株の比率は高められる

また、25歳の新卒と60歳の定年まであと5年のおじさんとでは、やはり株への投資比率が違ってきます。

・年齢が若い人ほど、株の比率は高められる

 

投資は資産配分(アセットアロケーション)が9割 まとめ

資産運用の成果を決めるのは、実は個別株投資の成否ではなく、アセットアロケーション(資産配分)が9割、という資産運用の法則が実証研究で示されています。

自分自身の全資産の何割を株にして、何割を債券や定期預金、そして不動産や金、外国為替(FX)などに分散するのか、その比率がとても大切なのです。

そして何割を株などのリスク資産にするのかは、自分の稼ぐ労働収入の金額とその長期的な安定性によって大きく異なってきます。そのあたりの人的資本と金融資本を次回はじっくりご説明しますね^^

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