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株式投資って、どのくらい儲けられるものなのか?

株式投資、ってそもそもどのくらい儲かるものなのでしょうか?

そしてその儲かる確率は?

株のトレードで毎月1億円儲けるセミナー」が開催されたり、「デイトレで稼ぐテクニックを伝授」みたいな本が出ています。

毎月1億円の利益でなくても、コンスタントに月収50万円くらい儲けられれば、もう満員電車で痴漢に会うことも、嫌な上司のセクハラに悩むことも、そして出るか出ないかわからない年金も気にせずに、ずっと平穏に生きていかれるハッピーライフです。

はたしてそんな方法があるのでしょうか?

そして、それは現実的に可能なテクニックなのでしょうか?

もくじ

期待リターン(期待収益率)とは?

まず株はどのくらいの期待リターン(期待収益率)があるのでしょうか? ちなみに「期待リターン」とは、ある金融商品に投資した場合、1年間に平均的に予想される年利のことを言います。

定期預金や国債への投資はあらかじめリターン(利回り)が決まっていますよね。

それに対して株式や投資信託、ETF、コモディティー、外国通貨、外国債券などは決まった利回りはなく、あくまでも、「平均的にこのくらいの利回りが出るはず」「その確率分布はこうなっているはず」「期待させる平均利回りのブレ(ボラティリティー = リスク)はこのくらいのはず」と、言ったあくまでも予想値でしかありません。

株式市場全体の平均的な過去のリターンはいくら?

未来は簡単には予測できません。あったとしても、「当たるも八卦当らなぬも八卦」の占いみたいなもんでしょう。しかし過去の実績である過去リターンはわかります。

※アメリカの大型株の代表的な指数であるS&P500インデックスの過去リターン(年利)は約9.8%でした。

≪S&P500の過去平均利回り(配当金込み)≫

時期利回り
1957年から2015年までの平均利回り9.80%
1960年 から 1969年7.80%
1970年 から 1979年5.90%
1980年 から 1989年17.60%
1990年 から 1999年18.20%
2000年 から 2009年1.00%
2010年から 2015年13.00%

※出所: S&P DJ Indices
※過去のパフォーマンスは将来の結果を保証しないことに注意してください。

注意していただきたいのは、期待リターンとか金利、利回りは、「1年当たり」で表現する、ということです。

なので、たとえば9%なら、毎年9%ずつ資産が増えて行くことを意味します。過去10年間の過去リターン実績が9%なら、資産は過去10年間毎年9%増加していた、という意味です。

過去10年間のリターンが9%なら、10年前に100万円だった評価額は、今、100万円 x 1.09^10 = 236万7364円になっています(計算は、1.09の10乗)。ざっと2.37倍で、儲けは約137万円です。

では日本株の平均リターンはどのくらいだったのでしょうか?
以下に、世界各国の過去リターンの実績を表にまとめました。

 

世界の株式市場のリスクプレミアム(1900年 – 2010年)

国名リスクプレミアム

日本

5%

アメリカ合衆国

4.40%

イギリス

3.90%

オーストラリア

5.90%

ドイツ

5.40%

世界平均

3.80%

(出所)Dimson, Marsh, and Staunton (2011) Table10
※リスクプレミアムとは、国債金利を上回る超過収益のこと

なるほど、過去の実績は日本株全体では6%くらいであることがわかりました(日本株の過去平均リスクプレミアム5%にリスクフリーレートと想定される1%を足した概数)。

つまり、株式市場を全部買ってしまうと、平均的にはこのくらい儲かるはずだ、という数値目安です。

しかし、「なんか一桁パーセントってしょぼくない? 毎年倍倍になる方法ってない?」って普通思いますよね?

確かに個別の銘柄は1年間に2倍、3倍になるものもあります。それを予め予測し、毎年資産が倍になったら売ることを繰り返せば、資産は倍倍で増えて行く計算です。

 

毎年資産が倍になる魔法のテクニックってあるの?

ではそんな魔法みたいな方法ってあるのでしょうか?
もしあれば是非それを習ってみたいです。結論を言うと、そんな方法があるはずないことは少し考えれば誰でも分かります。理由は以下の通りです。

理由その1

株でコンスタントにずっと大儲けできる方法がこの世にあれば、みんな会社で働かなくなり、株式投資のリターンで生活するようになる。

そうなると会社の従業員がいなくなり、会社そのものが成立しない。株式投資はそもそも会社へ成長資金を供給するシステム。なので、買う株そのものがなくなってしまう(笑)。

理由その2

世の中は競争で満ち溢れている。もし株で大儲けできる魔法の方法があれば、みんなそれをやろうとする。

そうすると、その方法ではもはや誰もが儲けることはできず、逆に損する方法になってしまう。みんなが同じことをするとみんなが不利益を被る。

理由その3

「株で長年コンスタントに1億円儲けてきた凄腕トレーダーが教えるセミナー」みたいなセミナーがある。本当に1億円株でずっと儲けられるのであれば、誰もその方法を公開するわけがない。

また安っぽいセミナー費用を取るビジネスなんかしないで、株で生活すればいい。もし長年毎年1億円儲けてきたのであれば、もう働く必要もないので有料セミナービジネスなんてしないはず。

理由その4

金融資産を運用する専門の職業をファンドマネージャーと言う。大抵超高学歴で極めて頭がいい人たちの集合。毎日朝から晩までフルタイムでどの株を買うかを財務分析、市場分析をし、世界状勢を分析している。

そんな彼らが運用するアクティブファンド(値上がり益を狙うファンド)の大半は長期的に市場平均に負けてしまう、というのが実際のところ。専門職業の人たちのチームが寄って集っても市場平均に勝てない。まして普通の我々個人投資家が「長期的に」株で儲けるのは至難の技。

8割~9割のアクティブファンドはインデックスに負けているのが現実

 

≪米国大型株アクティブファンド及びS&P500の年率パフォーマンス≫

出所: S&P DJ Indices

 

市場平均のリターンを狙う
パッシブ投資(インデックス運用)が「長期的に」正解

宝くじで1等(5億円)を当てる確実な方法があると思いますか?

あるわけないですよね?

宝くじ(ジャンボ)の当選確率は1000万分の1です。そして、期待リターンは約マイナス50%であることが知られています。

宝くじをずっと長年買い続けていると、もしかしたら1等が当たるかもしれません。しかし、確率的には期待値であるマイナス50%に収れんしていくはずです。

つまり宝くじを10億円分買うと1等の5億円が当たるので、資金は半分になってしまいます。

 

しかし株式は違います。
何しろ市場全体では、期待リターンが一桁であるにせよ、プラスなのです。

市場全体を丸ごと買ってしまうETFや、運用報酬の極めて安いパッシブ運用の投信があります。それを買うことで期待収益率がプラスのゲームに参加できるのです。


「期待リターン9%」とは、長年それをやっていると年当たり平均9%の儲けになる確率が最も高くなる、
という意味でもあります。

統計的には「平均回帰の法則」と言い、短期的に大儲けしても、短期的に大損しても、ずっと市場に参加し続けるとその平均値に収れんしていくのが株式投資の数学的な側面なのです。

期待リターンはリスクととても深い関係にあります。リスクについては次の記事でお話ししていきますね^^

株式投資のリスクとは?>

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